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OSS情報

2020.01.01

【OSS情報アーカイブ】Sympa

【OSS情報アーカイブ】Sympa

※当記事に記載されている情報は、古くなっている場合があります。オフィシャルサイトで最新情報をご確認ください。

コンテンツ

「Sympa」とは

Sympaの概要

Sympaのロゴ

メーリングリストとは、あらかじめ登録しておいた電子メールアドレスのリストを使って、電子メールの同報配信を行う仕組みです。メーリングリスト管理システムは、読者アドレスの登録や登録解除のためのユーザインタフェースや、投稿されたメッセージの蓄積 (アーカイブ) と閲覧、ユーザ管理などの機能を提供します。

Sympa (サンパ。SYstème de Multi-Postage Automatique) はメーリングリスト管理システムです。GNU General Public License (GPL) の下に配布されるフリーソフトウェアです。フランスの公益団体である技術・教育・研究全国通信網 (RENATER) が開発をホストしています。

Sympaの特徴

Sympaの特長としては、

  • 小規模なサイトから多ユーザ・大流量のサイトまで対応
  • 高速な配送処理
  • 外部のデータソースの利用
  • 高度なカスタマイズが可能

などが挙げられます。

小規模なサイトから多ユーザ・大流量のサイトまで対応

Sympaは数100ユーザ以下の小規模なサイトから10万ユーザ程度の大規模なサイトにまで対応します。

Sympaはリストメンバ管理にRDBMSを用います。データベーススキーマはSympaの初期設定時に自動的に作成されます。対応しているRDBMSとしてはMySQL・MariaDB、PostgreSQL、SQLite、Oracle Database、Microsoft SQL Server (一部機能のみ対応) があります。リスト数が100程度までの小規模なサイトでは、SQLiteで十分使用に耐えます。大規模なサイトではより高性能のデータベースサーバが必要になるでしょう。

高速な配送処理

Sympaはメッセージ処理のためにファイルシステムベースのキューを持っています。さらにキューの処理を多重化でき、配送量に応じて処理性能を上げることができます。一方、宛先ドメイン毎にメッセージの送出レートを制御できます。

外部のデータソースの利用

外部のデータソースからリストの読者情報を取得し、同期させることができます。RDBMS、LDAP、さらには他のリストとの読者情報の同期も可能です。組織が保有するアカウント情報などからリストの読者を決定でき、手動での読者メンテナンスが不要になります。

利用者アカウントは内部データベースを使って管理できるほか、LDAPやActive Directory、シングルサインオンシステム (CAS、Shibboleth等) との連携もできます。OAuth連携は現在開発中です。

高度なカスタマイズが可能

ウェブインタフェース

ウェブインタフェースで、リストのすべての設定と、システム全体の設定のほとんどを行えます。ウェブインタフェースはテンプレート化されており、サイトの見栄えを自由に変えることができます。なお、旧来のメールインタフェース (電子メールにコマンドを書いて送る方法) も利用できますが、設定変更はウェブインタフェースか、設定ファイルを直接編集することで行います。

トップ画面

リスト一覧画面

トップ画面 (モバイル端末利用時)

リスト一覧画面 (モバイル端末利用時)

認証・認可システム

独自のシナリオ言語により、ユーザの権限を詳細に定義できます。ユーザのメールドメイン、アクセス元ネットワークブロック、ユーザ証明書、DKIM署名、S/MIME署名による検証、リスト毎のロール (オーナー、モデレータ、一般読者) などの条件によって投稿を許可したり、投稿保管庫へのアクセスを制限したりできます。

仮想ドメイン

名前ベースの仮想ドメインに完全に対応しており、単一のインストレーションで複数のドメインのメーリングリストサービスを提供できます。

国際化

Sympaは国際化されており、17言語以上に対応します。ユーザ自身、リスト毎、仮想ドメイン毎に言語設定ができます。

その他

その他、次のような機能があります。「他のメーリングリストソフトウェアとの比較」もご覧ください。

  • アーカイブでのメッセージ検索
  • S/MIMEによるメッセージの復号・暗号化 (PGPには未対応です)
  • DKIM署名の検証、再署名

Sympaのライセンス

Sympaは、オープンソースのメーリングリスト製品であり、ライセンスにGNU一般公的許諾契約書 (GNU General Public License。GPL) を採用しています。

ソフトウェアのコピーや配布、ソースコードの公開を原則として、ソースコードの自由な改変も認められていますが、使用にあたってはGPLのライセンス使用条件に従う必要があります。特に商用製品として使用する場合などは使用条件を詳細に確認する必要があります。

Sympaの動作環境

ハードウェア

以下のスペック情報は、一例です。本ページ後半にある「導入事例」もご覧下さい。

  • 物理メモリ:2GB以上推奨
  • 空きディスク容量:512MB以上推奨
    • データベースおよびリスト設定情報の領域はほとんど消費しませんが、投稿保管庫 (アーカイブ) は、保存メッセージ総量の3倍程度が見込まれます。

OS環境

POSIX準拠のUnix系オペレーティングシステムで動作します。Microsoft Windowsでは動作しません。次のようなオペレーティングシステムでの動作が確認されています。

  • Linux (ほとんどのディストリビューション)
  • FreeBSD
  • NetBSD
  • Solaris
  • HP-UX
  • AIX

ソフトウェア環境

Sympaの動作にはデータベースサーバ、メール転送エージェント (MTA)、ウェブサーバ等が必要です。以下に、対応が確認されているソフトウェアを挙げます。

データベースサーバ
  • MySQL (4.1.1以降) またはMariaDB
  • Oracle Database
  • PostgreSQL (7.4以降)
  • SQLite (3.x)
  • Sybase
メール転送エージェント (MTA)
  • Postfix (2.1以降)
  • Sendmail
  • Courier MTA
  • exim
ウェブサーバ
  • Apache HTTP Server (2.2以降を推奨)
  • nginx
  • lighttpd
その他必要な依存モジュール等
  • FastCGIサーバ (mod_fcgid等。使用を強く推奨)
  • Perl 5.8.x以降 (必須)

ウェブブラウザ

以下は、ウェブインタフェースの動作が確認されている主なウェブブラウザです (いずれも確認時点での最新版)。

  • Google Chrome
  • Mozilla Firefox
  • Microsoft Internet Explorer
  • Opera
  • Safari (iOS、Mac OS X)

その他のブラウザ (Konquerorなど) も動作する可能性があります。なお最近のバージョンではJAWS、NVDAなどの音声読み上げブラウザでの利用も考慮されつつありますが、現状ではやや使いにくいです。

Sympaと他のメーリングリストソフトウェアとの比較

製品仕様

情報 説明 Sympa GNU Mailman fml
対象バージョン 最新の安定リリース 6.2.3 2.1.21 4.0.4
ウェブサイト 開発元が情報を提供するウェブサイト www.sympa.org(英) www.list.org(英)
docs.python.jp/
contrib/mailman
(日)
www.fml.org(日)
ライセンス 利用許諾条件 GNU General Public License version 2 GNU General Public License version 2 GNU General Public License version 2
対応OS 稼働するオペレーティングシステム UNIX全般、Linux UNIX全般、Linux UNIX全般、Linux
Windows
MTA 稼働実績のあるメール転送エージェント Sendmail
Courier-MTA
Postfix
qmail
exim
Sendmail
Courier-MTA
Postfix
qmail
exim
Sendmail
Courier-MTA
Postfix
qmail
exim
Zmail
HTTPサーバ 稼働実績のあるHTTPサーバ Apache HTTP Server
lighttpd
nginx
Apache HTTP Server
lighttpd
nginx
Apache HTTP Server他
リレーショナルデータベース 対応しているリレーショナルデータベースサーバ MySQL・MariaDB
PostgreSQL
Oracle
Sybase
SQLite
× ×

基本機能

機能 説明 Sympa GNU Mailman fml 備考
多言語対応 ・電子メールのサービスメッセージとウェブのGUIが、多言語に対応しています。
日英のみ
 
件名へのプリフィクス付加 ・配送するメッセージの件名にリスト名や投稿番号を付加できます。  
S/MIME 対応 ・S/MIMEで署名されたメッセージを検証します。
・S/MIMEで暗号化されたメッセージを復号します。
× ×  
配送エラー処理 ・配送エラーを起こしているユーザに自動的に警告を送り、必要に応じて登録を解除します。
・リスト管理者は配送エラーを起こしているユーザを確認できます。
×  
ダイジェスト配信 ・ダイジェスト配信 (まとめ送り) ができます。  
アーカイブ ・投稿をアーカイブに保管できます。  

ウェブによるグラフィカルユーザインタフェース

機能 説明 Sympa GNU Mailman fml 備考
ウェブ上での入退会 ・ウェブのGUIでリスト一覧の閲覧ができます。
・ウェブのGUIで入会、退会ができます。
×  
リストの管理 ・リスト管理者が、保留投稿の承認、入退会の承認をできます。
・リスト管理者がリストの設定を変更できます。
×  
リスト作成・削除 ・リストシステム管理者がリストを作成/削除できます。 ×  
ウェブ上のアーカイブ ・ウェブ上でアーカイブを閲覧できます。 ×  
ウェブ上での会員一覧 ・リストのメンバーとリスト管理者が会員一覧を閲覧できます。 ×  
添付ファイル対応 ・添付ファイルをウェブアーカイブ上からダウンロードできます。 ×  
アーカイブ検索 ・アーカイブのメッセージを検索できます。 × ×  
アーカイブのアクセス制限 ・アーカイブを非公開にすることができます。 ×  
ユーザ検索 ・リストシステム管理者が利用者を検索できます。 × ×  

カスタマイズ/チューニング

機能 説明 Sympa GNU Mailman fml 備考
マルチドメイン ・単一のインストレーションで複数の独立した仮想ドメインアドレスを利用できます。 × *GNU Mailman: ドメインをまたいで同一リスト名を利用することはできない。
投稿制限 ・スパムおよび非会員からの投稿を制限します。
・投稿メッセージのサイズを制限します。
 
アーカイブ容量制限 ・アーカイブのディスク使用量を制限できます。 × ×  
ウェブインタフェースのカスタマイズ ・ウェブインタフェーステンプレートのカスタマイズ × *GNU Mailman: 変更箇所によってはソースコードの修正が必要。
サービスメッセージのカスタマイズ ・サービスメッセージテンプレートのカスタマイズ *GNU Mailman: 変更箇所によってはソースコードの修正が必要。
権限付け ・ユーザの権限をカスタマイズできます。 × ×  
外部の認証機構の利用 ・外部の認証機構 (LDAP、SSO等) をユーザ認証に利用でき、管理者と一般会員が同一の認証手続きで利用できます。 × ×  
大量配信 ・組込みの大量配信エンジンにより、配送を効率化します。 ×  
データベース連携 ・ユーザ情報を外部のデータベース (LDAP, SQL) に格納できます。
・リストの登録情報をデータベースから取得できます。
× ×  
ウィルスチェック ・ウィルスチェックソフトウェアと連携できます。 × ×  

Sympaの導入事例

Sympaは、オープンソースのメーリングリストサーバとして、中小から大規模まで、さまざまな業種・システムで幅広く利用されています。以下に、導入事例を挙げます。

サイトA

業種:メディア
ユーザ数:約400人
リスト数:約1,500
動作環境:CPU: Intel Xeon 5150 2.66GHz 1p/2c, メモリ: 4GB
利用用途:メールエイリアスの代用としてリプレース

サイトB

業種:独立行政法人
ユーザ数:約1,000人
リスト数:約150
動作環境:CPU: Intel Xeon E5630 2.53GHz 1p/4c, メモリ: 4GB
利用用途:所内メーリングリスト、ヘルプデスク用メーリングリスト等

サイトC

業種:官公庁
ユーザ数:2,500人
リスト数:約1,000
動作環境:CPU: vCPU×4, メモリ: 4GB
利用用途:庁内メーリングリスト、メールマガジン

サイトD

業種:大手メディア
ユーザ数:10,000人
リスト数:約7,000
動作環境:CPU: Intel Xeon E5-2620 2.10GHz 2p/24c, メモリ: 48GB
利用用途:社内メーリングリスト

Sympaのダウンロード

Sympaのソースパッケージは公式サイトで入手できます。

公式サイト(英語)

http://www.sympa.org/

日本語サイト

http://sympa-ja.org/

バイナリパッケージ

いくつかのフリーなOSでは、公式または非公式のパッケージが提供されています。

Debian / Ubuntu
FreeBSD Ports
Red Hat Enterprise Linux / Cent OS

※定期的にメンテナンスを実施しておりますが、一部情報が古い場合がございます。ご了承ください。

情報提供協力

このページは、株式会社コンバージョンの協力により作成しました。

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