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OSS情報

2020.01.01

【OSS情報アーカイブ】OTRS

【OSS情報アーカイブ】OTRS

※当記事に記載されている情報は、古くなっている場合があります。オフィシャルサイトで最新情報をご確認ください。

「OTRS」とは

「OTRS」基本情報

■概要

OTRS(オーティーアールエス)とは、ヘルプデスク機能+ITIL対応運用管理機能を備えるオープンソースの高機能チケット管理ソリューションです。

■「ITIL」とは

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスマネジメントのベストプラクティスがまとめられた公開されたフレームワークで、ITサービス運用の分野における業界標準です。

OTRSは定義された管理領域の中で、6プロセス(インシデント管理、問題管理、変更管理、要求実現、サービス資産管理・構成管理、ナレッジ管理)の認定を受けています。

■基本説明

OTRSはチケット管理およびプロセス管理システムです。

会社や団体や組織などが「顧客から受け取った個々の問い合わせやクレーム」や「それに関連する対応履歴や各種事象など」を「チケット」と呼ばれる単位でまとめて効率的に管理できます。

特に、1つの事象が多数の顧客に影響していて、似たような問い合わせを大量に受け付けるような場合に効果を発揮します。

OTRSの名称は「Open source Ticket Request System」や「Open Technology – Real Service」を由来としています。

OTRSはWebサーバにインストールされ、Webブラウザで使用できるWebアプリケーションです。

■主要開発元

OTRSは「OTRS AG」が中心となり開発しています。

→OTRS →Com­pany Profile

■経緯

2001年、OTRSはオープンソースのヘルプデスクチケット発行ソフトウェアとして作成されました。

■ユースケース

OTRSはさまざまな用途で利用できます。
・カスタマーサービス—顧客からの電話や電子メールによる問い合わせ管理
・ITサービス管理—企業のセキュリティヘルプデスク
・インシデント管理
・変更管理
・サービス資産管理
・構成管理
・ナレッジ管理 など

他アプリケーションとの連携による活用も可能です。
・統合監視ツール「Zabbix」連携—重要度の高いアラートをインシデントとして自動登録
・ワークロード自動化ツール「JobScheduler」連携—ジョブの失敗をインシデントとして自動登録
・IP-PBXソフトウェア「Asterisk」連携—CTI(Computer Telephony Integration)として利用 など

■オフィシャルサイト情報

オフィシャルサイト

→OTRS(Community Edition)

→OTRS(Ticket System and Helpdesk Software | OTRS)

ライセンス情報

OTRSのライセンスは「GNU GENERAL PUBLIC LICENSE Version 3」です。

詳細について、こちらを参照ください。
→GitHub →OTRS/otrs →COPYING

動作環境

OTRSは「Linux」「Windows」「macOS」などの主要プラットフォームで利用できます。

データベースは「PostgreSQL」「Oracle」「DB2」「Microsoft SQL Server」「MariaDB」などをサポートしています。

ダウンロード

→OTRS →Download ((OTRS)) Community Edition

導入事例

OTRSは、「ヘルプデスク業務」「ITサービス管理」「電気通信」「政府」「医療」「製造」「教育」など、世界中のさまざまな業界部門で採用されています。

→OTRS →((OTRS)) Community Edition – The Flexible Open Source Service Management Software

また、Wikipedia日本語版での採用実績もあります。

→Wikipedia →Wikipedia:OTRS/Team(メール対応ボランティアチーム)

「OTRS」の主な特徴

■ビジネスプロセスのモデル化

OTRSプロセス管理ツールを使用すると、ビジネスの成長や変化に合わせて「チーム」「部門間」「外部」のコミュニケーションが円滑に行われるように、ビジネスプロセスのモデル化と調整が容易になります。

■コミュニケーションプロセスの効率化

OTRSは明確な構造と最適化されたプロセスを通して、企業の内部外部を問わずにコミュニケーションプロセスを効率化させます。

OTRSの柔軟性により、各部門固有の情報とプロセスのニーズを取り入れながら、1つのシステムを使用して、企業に関わるすべてのコミュニケーションを取得して保存できるため、部門間のコミュニケーションも容易になります。

チームが連動して迅速にタスクを完了できることにより、質の高いサービス提供が可能になります。

■他アプリケーション統合

OTRSは、「SAP」や「Salesforce」などの既存のアプリケーションやサービスとシームレスに統合できます。OTRSチケットコネクタを使用することで、サードパーティ製アプリケーションからWebサービスを介してチケットの「作成」「更新」「検索」を実施できます。

また「Active Directory」や「OpenLDAP」などのディレクトリサービスと統合し、「LDAP」「HTTPAuth」「Radius」などを介して認証できます。

■多言語対応

OTRSは30以上の言語とタイムゾーンをサポートしています。

日本語対応としては、日本で一般的なISO-2022-JPでメール送受信が可能です。

■モジュラーアーキテクチャ

OTRS本体はプログラミング言語「Perl」で実装されており、再利用性が高いバックエンドモジュールとして構成されています。そのため、独自モジュールを開発してOTRSシステムの機能を強化できます。

また、Webインターフェースについては「JavaScript」で実装されており、ダイナミックテンプレートと呼ばれるテンプレートメカニズムを使って、容易にシステム出力できます。

これらのアプローチにより、サーバで処理されるロジックモジュールがフロントエンドユーザーインターフェースと分離されます。

■大量チケット処理

OTRSの処理能力は、「Apache HTTP Server用mod_perl導入」や「Webサーバとデータベースサーバ分割によるスケーラビリティ向上」により高めることができます。

これによって、大量のエージェントやチケットを処理できます。

■機能拡張

OTRSはいくつかのコンポーネントに分かれており、主なコンポーネントは、アプリケーションとチケットシステムのすべての中心的機能を含むOTRSフレームワークです。コアシステムはOTRSパッケージをインストールすることで機能拡張できます。

多くの無料パッケージ(公開拡張モジュール)のソースコードはGitHubから入手できます。
・FAQ機能
・ナレッジベース機能
・ネットワークモニタリングソリューション統合機能 など

→GitHub →OTRS AG

「OTRS」の主な機能

「OTRS」の主な機能

■ユーザーインターフェース

OTRSには独立したWebインターフェースが付属しています。

Webインターフェースは、独自のテーマやスキンでカスタマイズでき、チケット概要やグラフィカル統計情報サポートを備えたエージェントダッシュボードも利用できます。

ブラウザでアクセスできるためモバイルプラットフォームからでも使用できます。また、会社外のお客様やビジネスパートナーなどがOTRSにアクセスしてチケット情報を追加できるようにすることもできます。

■電子メールインターフェース

OTRSの電子メールインターフェースには以下の特徴があります。
・添付ファイル付きMIMEメールのサポート
・HTMLからプレーンテキストメッセージへの自動変換機能
・機密性の高いコンテンツに対するセキュリティの強化
・高速検索
・フィルタリング前処理機能—スパムメッセージ除外処理、キュー配信
・PGPおよびS/MIME標準のサポート—鍵/証明書管理
・自動応答機能
・電子メール通知機能—チケットステータス変更通知
・メールテンプレート機能 など

■チケット管理機能

チケット情報

OTRSによって発行されたすべてのチケットには、関連する履歴や事象が共に保存されます。

チケットは他のチケットやFAQエントリなどのオブジェクトにリンクすることが可能で、似たような事例のチケットをまとめて管理できます。また、チケットの分割や統合にも対応しています。

1つの不具合が多数の顧客に影響し、似たような問い合わせを大量に受けたような場合に、対応を管理するのが格段に容易になります。

タスク割当機能

OTRSには、個人またはチーム全体のための役割および権限管理ツールが組み込まれているため、要求が担当部門に迅速に割り当てられます。

独自チケットベースプロセス(チケットワークフロー)を定義できます。

チケットステータス管理

常に最新のチケット処理ステータスを把握できます。

「通知機能」「リマインダ機能」「エスカレーション管理プロセス」などにより、迅速なリクエストの評価と処理が保証されるため、チケットが未回答ステータスのまま放置されてしまうことを防げます。

OTRSには強力な検索エンジンが搭載されており、チケット情報の「キュー」「ステータス」「エスカレーション」などに基づく全文検索により詳細レベルまで確認できます。

■プロセス管理機能

OTRSプロセステンプレートを利用してワークフローを作成できます。標準化された頻繁に繰り返されるプロセスに最適で、品質と効率の両方を向上させます。

共通テンプレート

以下のような共通テンプレートが用意されています。
・ホリデーリクエスト
・部屋予約
・材料発注
・旅費精算
・重大クレーム対応 など

カスタムプロセス作成

OTRSプロセス管理を使用すると、自社のビジネスに合わせたカスタムプロセスを作成できます。

複雑な操作を必要とせずに、カスタムプロセスの修正や調整を行えます。

■FAQ機能(セルフヘルプツール)

OTRSは、FAQを「作成」「編集」「検索」できる統合機能を持ち、FAQをナレッジとして蓄積できます。

■レポート機能

OTRSは、パフォーマンスメトリクスなどの戦略的管理に役立つ機能を提供します。部門を超えた業務を長期的に検討して、データに基づいた意思決定をサポートします。

OTRSレポートジェネレータを使用すると、サービス提供の品質を迅速に評価できます。数回クリックするだけで、データをマージして読みやすいレポートを生成できます。

拡張可能なレポートエンジンは、さまざまな統計とレポートスケジュールオプションを提供します。

 

参考元サイト

※定期的にメンテナンスを実施しておりますが、一部情報が古い場合がございます。ご了承ください。

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