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OSS情報

2020.01.01

【OSS情報アーカイブ】Inkscape

【OSS情報アーカイブ】Inkscape

※当記事に記載されている情報は、古くなっている場合があります。オフィシャルサイトで最新情報をご確認ください。

「Inkscape」とは

「Inkscape」基本情報

■概要

Inkscape(インクスケープ)とは、ベクトル形式の画像を作成できる多機能なドローソフト(ベクターグラフィックスエディタ)です。オープンフォーマット「SVG」をネイティブサポートしています。

■基本説明

Inkscapeは、基本図形配置やマウス操作による自由曲線の描画などにより、ベクトル形式画像(ベクター画像)をプロフェッショナル品質で作成/編集できる洗練されたドローソフトウェアです。

ドロー系ツールとして有用な機能が多数盛り込まれています。「Adobe Illustrator」「CorelDRAW」などの商用ツールに匹敵する機能と拡張性を備えています。

開発目標

Inkscapeは以下の事項を目標として開発が行われています。
・「XML」「SVG」「CSS」などの標準に完全準拠
・フレンドリーでオープンでコミュニティ指向の開発プロセスの確立
・強力な機能を備えた軽量コア
・シンプルで使いやすいインターフェース

■経緯

・2003年 ベクトル画像編集ソフト「Sodipodi」からフォークして開発スタート
・2003年 初版リリース

■ユースケース

Inkscapeは、デザインプロフェッショナルからホビーユースまで、さまざまな用途のグラフィック創作のために利用されています。特に、ベクトル形式画像(ベクターデザイン)は、状況に応じてサイズ変更が要求されるアート制作に向いています。

・マーケティング/ブランディング
・エンジニアリング/CAD
・Webグラフィックス
・マンガ制作
・グラフや活字を利用した誌面デザイン
・ラインアート
・イラスト
・アイコン
・ロゴ
・ダイアグラム
・チャート
・マップ
・Web画像 など

■オフィシャルサイト情報

オフィシャルサイト

→Inkscape

ライセンス情報

Inkscapeのライセンスは「GNU General Public License」です。

詳細について、こちらを参照ください。
→Inkscape →Software License

動作環境

Inkscapeは、「Windows」「Mac OS X」「各種Linuxディストリビューション」で動作します。

ダウンロード

→Inkscape →download

■同様製品

同様な機能を提供する製品として、次のようなものがあります。

オープンソース製品:「GIMP」「Krita」など。

「Inkscape」の主な特徴

■ドロー系グラフィックツール

計算式で図形描画

ドロー系ツールは、数値計算により図形を描画します。

たとえば、円を描く場合、

ペイント系ツールではピクセルの1つ1つのピクセルに色を設定して円を表現しますが、

ドロー系ツール(Inkscape)の場合は、円を描く計算式から円を表現します。円の計算式と一緒に「円の座標」「線の太さ」「線の色」などの付属情報も管理します。

メリット① 画像拡大時に荒くならない

ドロー系ツールの大きなメリットとして「画像拡大時に荒くならない」という点が挙げられます。ピクセル単位で表現するペイント系ツールで画像拡大を行うと画像が荒くなってしまいますが、ドロー系ツールでは、あくまで計算式で処理されるため、どれだけ拡大しても画像は荒くなりません。

ドロー系ツール「Inkscape」で描いたベクトル画像は拡大してもオリジナルサイズと同じクオリティーを保てるため、「Webサイトなどのロゴ作成」などに向いています。

メリット② ファイルサイズが小さい

データサイズ比較では、ドロー系ツールはペイント系ツールよりもデータサイズを小さくできます。

■インターフェース

Inkscapeは、「インターフェースの一貫性と使いやすさ」「ユーザビリティ向上」を優先事項として開発されています。

ユーザビリティ向上のための施策

・GNOMEヒューマンインターフェースガイドライン
・ユニバーサルキーボードアクセシビリティ
・便利なキャンバス編集機能
・フローティングダイアログボックス数の削減
・キーボードショートカット機能向上
・一般的操作用ワンキーショートカット(変換、ズーム、Zオーダーなど)
・ウィンドウ上部ツールバーコントロールに関連コントロールを常時表示 など

ヒントメッセージ

Inkscapeでは、各種機能(ボタン、コントロール、コマンド、キー)などについて、「キャンバスハンドルツールチップヒントメッセージ」や「ステータスバー動的ヒントメッセージ」が表示されます。

特定のオブジェクトについては、1つのツールで編集中に最大4つのヒントを表示できます。

ヒントは、使用されているツールと、編集中のオブジェクト/ノード/ハンドルのタイプ(テキスト、シェイプ、パス、ノードタイプなど)の2つのアイテムに基づいて更新されます。

「Inkscape」はオープンフォーマット「SVG」準拠

「Inkscape」はオープンフォーマット「SVG」準拠

Inkscapeは、W3C(World Wide Web Consortium)のXMLベースオープン規格「SVG (Scalable Vector Graphics)」をネイティブフォーマットとして採用し、オープン標準完全準拠を目標としています。

■オープンフォーマット「SVG」とは

「SVG(Scalable Vector Graphics)」は、オープンスタンダードの2次元グラフィックス用グラフィックスマークアップ標準規格です。

→W3C →SCALABLE VECTOR GRAPHICS (SVG)

■XMLベース

SVGイメージとその動作は、XMLテキストファイルで定義されます。

XMLベースであるため、テキストエディタや描画ソフトウェアで作成/編集できます。また、検索/索引付け/スクリプト化/圧縮にも対応します。

■2次元グラフィック記述言語

SVGは、XMLで2次元グラフィックを記述するための言語です。

「ベクトルグラフィックシェイプ(直線や曲線からなるパスなど)」「イメージ」「テキスト」の3種類のグラフィカルオブジェクトを扱えます。

グラフィカルオブジェクトは、すでにレンダリングされているオブジェクトに対して、グループ化/変換/合成などを行えます。

「テキスト」グラフィカルオブジェクトは、アプリケーションに適した任意のXML名前空間に置くことができ、SVGグラフィックスの検索可能性とアクセシビリティを向上させます。

■ベクターグラフィックアニメーション

SVG図面にインタラクティブ性とアニメーションを付加できます。

SVGのDOM(Document Object Model)は、スクリプトを使用した簡単で効率的なベクターグラフィックアニメーションを可能にします。

豊富なイベントハンドラ(onmouseoverやonclickなど)は、任意のSVGグラフィカルオブジェクトに割り当てられます。

■Web対応

SVGは、主要ブラウザでサポートされています。

HTMLとの親和性も高いため、ハイパーリンクを埋め込んだり、JavaScriptなどとの連携も可能です。

SVG要素や他のXML要素は、同一Webページ内で異なる名前空間から同時にスクリプト化できるなど、他のWeb標準との連携活用が可能です。

■SVGオーサリングツール

多くのSVGオーサリングツールがあり、SVGへのエクスポートはすべての主要なベクトルグラフィックスオーサリングツールでサポートされています。

「Inkscape」のサポートファイル形式

「Inkscape」のサポートファイル形式

Inkscapeは、SVG形式に完全準拠したファイル作成/編集/保存の他に、さまざまなファイル形式をサポートしています。

■サポート形式

・SVG(標準形式)
・AI
・DXF
・EPS
・OpenDocument図形描画
・PDF
・PostScript
・TeX
・JPEG
・PNG
・BMP
・TIFF など

■エクスポート機能

エクスポート/変換用コマンドラインオプションが用意されており、必要に応じてWebブラウザや商用印刷に適したファイル形式にエクスポートできます。

■透過画像作成

[ファイル]メニューの[ビットマップにエクスポート]を選ぶことで、PNG形式の画像として出力できます。

この場合には、画像の背景が透過されるため、他のグラフィックツールとの連携もスムーズに行えます。

「Inkscape」のアドオンカスタマイズ

「Inkscape」のアドオンカスタマイズ

アドオンを使用してInkscapeの機能強化を行えます。

■インストール

新しい拡張機能をインストールするには、アーカイブファイルをダウンロードして展開します。対象ディレクトリにファイルをコピー後にInkscapeを再起動すると、新しい拡張機能が使用可能になります。

自分で独自アドオンを開発することもできます。

■アドオンギャラリー

ギャラリーにはさまざまな機能が用意されています。

・パレット拡張
・ノブスケールジェネレータ
・青写真メーカー
・マルチブール拡張
・シェイプクリエイター
・アイソメトリック投影変換器 など

→Inkscape →Extension

「Inkscape」の主な機能

「Inkscape」の主な機能

Inkscapeには、「レイヤーによるオブジェクト管理」「マスク作成」「オブジェクトの結合/整列」など、ドロー系ツールとして有用な機能が多数盛り込まれています。

また、ビットマップ画像をベクトル画像に変換する強力なトレース機能も備えています。

■オブジェクト作成

描画ツール

・鉛筆ツール(フリーハンド)
・ペンツール (ベジエ曲線/直線を作成)
・カリグラフィツール(フリーハンドでカリグラフィの筆跡を表すパスを作成)

シェイプツール

・矩形(角丸め)
・円、弧、扇形
・星形/多角形 (角丸め、ランダム化)
・らせん

テキストツール

・複数行テキストに対応
・キャンバス上でのインライン入力

ビットマップ

・ビットマップ埋め込み

クローン

・クローン(オブジェクトのライブリンクコピー)
・パターン作成
・クローン整列

■オブジェクト操作

・変形(移動、拡大/縮小、回転、歪曲)—対話形式および厳密な数値指定
・Z軸操作(重なり調整)
・オブジェクトグループ化
・レイヤー操作—レイヤーロック、表示/非表示設定、再配置、階層化
・整列

■フィルとストローク

・カラーセレクター—RGB、HSL、CMYK、カラーホイール、CMS
・スポイトツール
・スタイルのコピー/貼り付け
・グラデーションエディター—複数の色フェーズを使用可能なパターンフィル(ビットマップ/ベクター)
・点線/破線
・パスマーカー(線の始点/終点のマーカー)

■パス操作

・ノード編集—ノードおよびベジエハンドルの移動、整列/配置
・パスに変換—テキストやシェイプ、ストロークのパスへの変換
・ブーリアン演算
・パスの簡略化—可変のしきい値での調整
・パスのインセット/アウトセット—ダイナミックおよびリンクオフセットオブジェクトに対応
・ビットマップのトレース —カラーおよびモノクロパス

■テキストサポート

・複数行テキスト対応
・インストールされたあらゆるフォントの使用が可能
・右横書き対応
・カーニング、文字間隔、行間隔の調整
・テキストの流し込み

■レンダリング

・完全なアンチエイリアス表示
・アルファ透明度サポート—ディスプレイ表示およびPNGエクスポート
・ドラッグに合わせたレンダリング

 

参考元サイト

※定期的にメンテナンスを実施しておりますが、一部情報が古い場合がございます。ご了承ください。

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